環境発達医学研究センター(センター長挨拶)

環境発達医学研究センター発足にあたって

環境発達医学研究センター長 田口 智章

 環境発達医学研究センターは、“子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)”を円滑に実施する役割を担う「エコチル調査部門」および、環境がこどもの心と体に及ぼす影響を解明し疾患発症のメカニズムを研究する「研究推進部門」から構成されます。医学研究院・歯学研究院・農学研究院・九州大学病院・東アジア環境研究機構・キャンパスライフ/健康支援センターなどが連携し、福岡の地域特性を考慮した子どもの成長・発達・疾患について幅広く、また深く研究するため、学内共同研究施設のひとつとして運営されています。

 「エコチル調査部門」が行っているエコチル調査とは、環境省が主体となり実施している、全国で10万組の子どもたちとそのご両親に参加していただく大規模疫学調査かつ前向きコホート研究のことです。この調査では、赤ちゃんがお母さんのお腹にいる時から13歳になるまで長期間にわたり定期的に健康状態を確認させていただき、環境要因が子どもたちの成長・発達にどのような影響を与えるのかを明らかにします。エコチル調査によって子どもたちの成長・発達に影響を与える環境要因が明らかとなれば、リスク管理部局への情報提供を通じ、自主的取組への反映、化学物質規制の審査基準への反映、環境基準(水質、土壌)等、適切なリスク管理体制の構築へとつなげることができます。またエコチル調査は、「胎児期から小児期にかけての化学物質曝露をはじめとする環境因子が、妊娠・生殖、先天奇形、精神神経発達、免疫・アレルギー、代謝・内分泌系等に影響を与えているのではないか」という中心仮説を解明するために、化学物質の曝露などの環境影響以外にも、遺伝要因、社会要因、生活習慣要因など、さまざまな要因について幅広く調べていきます。これらの調査は全国15地域の大学等に設置されたユニットセンターが中心になって行われていますが、九州大学および産業医科大学からなる福岡ユニットセンターもそのひとつです。

 「研究推進部門」は、母性胎児環境疫学分野、小児環境疫学分野、化学物質解析分野、ゲノム疫学分野、環境・代謝内分泌異常解析分野、環境・免疫異常解析分野、環境・形態異常解析分野、環境心理関連解析分野の8分野からなり、産婦人科や小児科のみならず、小児外科、小児歯科、皮膚科、心療内科、農学部などの研究者が、子どもの成長・発達・疾患・心理的問題などを多方面から研究しています。

 環境発達医学研究センターでは、さまざまな活動・研究をとおして、こどもたちの未来が明るく安心できるものになるよう願い努力していきたいと考えています。みなさまのご助言・ご指導をどうぞよろしくお願い申し上げます。